「決断力」というと、胆力があるというようなイメージであるが、本書はそう言った話ではない。組織を動かすうえで難しい決断を迫られることが多々あり、それをどのように決断していくかの具体的方法が解説される。
とにかくエピソードが圧倒的に豊富だと感じた。次々と、知事、市長の時の話が出てくる。こういった体験を伴った言葉で語られるので、机上の理論でないことがよく分かる。普通は、知事や市長が日々どういう事を考え、どんな仕事をしているか?なんて考えたりはしない。本書はそういった、自分たちが知らない世界を垣間見る事ができる。
そして、メインである決断手法。その方法は裁判の手法を元にしているという。
正解なんてないからこそ、正解に至る「プロセス」を「フェア」に辿ることーこの「手続的正義」の思考が、先の見えない混迷の時代において物事を進めるために、必要不可欠な考え方です。
引用:「決断力」
強引に決断するのではなく、プロセスを踏んでいく手法に、知的なものを感じた.
また、本書では、コロナ対応、日大悪質タックル問題などの話題について、対応の問題点を指摘し、解決策が説明されている。その中にも決断手法の考え方が適用される。大阪の改革の先頭に立ってきた橋下氏の視点からから解説されるので、納得感がある。
本書は「誰向けの本か?」と言われれば、大きな組織のリーダ向けの本かもしれない。しかしながら、本書のエッセンスを取り入れ、自らの職場に活かすことは可能だ。