斬新でオリジナリティを感じる内容だった。
会話の本の多くが、「相手の話を聴く」ことが重要としている。もちろん、本書にもそのことは書かれているが、それだけではなく本書では「話し方」の解説もしてある。「話し方」と言っても、内容的なものではなく、相手の頭の中に映像を浮かばせるというものだ。これは、斬新な視点だと感じた。普段から会話を研究している人でないと、思い浮かばないだろう。
そして、「相手を会話の主役にする」という話では、ラインのメッセージを例にとり、具体的にどのように相手を主役にするか?が解説されている。この、「相手を会話の主役にする」というのは上手く抽象化された表現だと思う。「自分の事ばかり話さない」「相手の話を聞く」というように表現されている本もあるが、「相手を会話の主役にする」という方が本質的であると感じる。
人は自分をわかってほしい生き物。だから会話でもコミュニケーションツールでも、「私」という主語を使って語ることが多くなるのは仕方ありません。しかしそれでは、相手の心には何もひかっからず”既読スルー”で流されてしまうです。
引用:本書
上記に挙げた以外にも、会話の技術が沢山解説されており、普段無意識に行いがちな会話をここまで研究しているのかと感心した。
ただし、本書を読んでいて気になった点もある。以下に記載する。
一つ一つの話は分かりやすいのだが、本を読み終わり、「結局どうすればいいのか?」ということを、自分で整理し直す必要があった。それは、多くの手法や技術が出てくるからだ。多くの会話の手法や技術が出てくるということは、一つ一つは会話において、それほど支配的ではないとも言える。それぞれの重要度や優先順位を明らかにした方が、分かりやすいと感じた。