【書評】京セラフィロソフィー

【著者】稲盛和夫
【ジャンル】人生哲学
【評価】

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概要

筆者の経験を元に、仕事や生きる上での哲学が解説される。「(本書が)進むべき道を指し示す羅針盤となり、実り多き経営、充実した人生を送る一助となりますことを、心より祈念申し上げます」との筆者のコメント。

特徴

もともとは、筆者が主宰する「盛和塾」で行った講和の記録であった。その内容を編集し、京セラの社内教材としていたが、塾生からの強い要望で「京セラフィロソフィー」というタイトルで、塾生向けに刊行した。その後、一般にも公開されたのが本書。

レビュー

筆者の人生が詰まったような本だった。とにかくエピソードが豊富で、筆者の経験からくる哲学が満載だ。理屈を並べた本と違って、どれも生きた内容だ。

筆者は、ほとんど何もない0からのスタートで、大企業を作り上げた。もともと、小さな会社の技術者だったのに、突然新しい会社の経営者になるという経験をしている。創業当初は大きな会社でなかったので、筆者自身が技術開発、営業、経営に携わらなければならなかった。その為、本書で紹介されるエピソードも技術開発、営業、経営に関することなど多岐に渡る。

この本には「率先垂範」「現場主義」「自ら燃える」「自分自身で考え、自分自身の足で歩む」「知識よりも体得を重視する」

 というような言葉が多くでてくる。 こういった言葉からも、筆者が自ら先頭に立ち、道を切り開いてきたことが分かる。

筆者は、客先に営業に行った時に、相手の技術的な要求が難しい場合でも「できます」と、うそを言って注文をとってきたそうだ。そして、何としてやり遂げるという事を繰り返し、技術力を高めてきたということだ。


これだけ聞けばとんでもない話に聞こえるかもしれない。しかし、普通にやっていると注文がもらえないので、なんとか注文をとって従業員を養うための苦肉の策だったという。 大企業に発展したからといって、順風満帆だったというよりは、サバイバルのような日々だったことが想像できる。

・余裕の中で生まれたアイデアは単なる思いつきにすぎない
(すばらしいアイデア、ひらめきは、追い込まれてギリギリのところで研究しているときにしか出てこない。思いつき程度で上手くいかない。)
・もうダメだというときが仕事のはじまり

(すばらしい仕事を成しとげるには、燃えるような熱意、情熱をもって最後まであきらめずに粘り抜く)
引用:本書

これも、日々の戦いが見えてくるような言葉だ。

この言葉のように、本書の内容は筆者が多くの困難を乗り越えてきた中で培われたもので、そのような経験をした人にしか書けない貴重な内容だ。

本書は、生き方、経営、技術に関することなど、内容が多いので一読するだけでは吸収しきれないだろう。手元に置いて何度も読み返してみるのがお薦めだ。

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