世に出回っている製品、商品に使われている文章の実例が出てくるのが面白い。普段は意識していないけど、目的に応じて、選び抜かれた言葉が使用されている事が分かる。また、目的によっては記憶に残らない文章を書く場合もある、というのは奥が深いと思った。
本書には、筆者の主張の根拠や裏付けとなるデータが多く出てくる。著者の経歴を見ると理工学部出身とのことで、それがこの理系的な説明につながっているのだろうと思った。
※以下、個人的に気になったことを挙げます。
①同じキーワードが何度も繰り返され、くどいと感じた。しかも、そのキーワードがフワッとしていて、何度も繰り返される意味があるのか?、と感じてしまった。
②読んでいるうちに迷子になる感覚があった。本を読んでいて、今読んでいるこの話は、何を説明するためのものなのか?・・・その位置付けが分からなくなる場合が多かった。その原因は、章のタイトルの付け方や、章の分け方にあるのではないかと思う。
例えば、第2章は「○〇が正義」というタイトルになっていて、この章は何を説明するための章かが分かりにくい。例えば、「文章を書く上での大原則」というようなタイトルならば、その章が何を説明するのかがははっきりと分かる。
また、第3章は文章を書く上で重要な幾つかのルールを示している。ルールは以下のように書かれている。
<ルール>
・ ○〇が最強
・ ○〇が命
というような表現になっている。先程と同様に、表題から中身が分かりにくい。この場合のルールとは、いわば「守るべき規則」であって、「〇〇すること」「〇〇しないこと」というような形で表現されるべきだと思う。
こういった表現の仕方が、読んでいるうちに迷子になる一因だと思う。
ページレイアウト的にも、説明が始まる前に、「ルール①:○〇」と見出しが大きく書いてあれば迷子にならないと思うのだが。
それに加え、2章で説明されたことは、3章のルールの1つなのか?それとも3章のルールを適用する上での、土台となるものなのか?・・・章の分け方の意図がくみ取れなかった。
また、3章のルールは文章を書く技術を列挙したものであるが、その中に1つ別カテゴリーのものが混ざっているのも気になった。
まとめると、本の階層構造を捉えにくくする要因が多いため、迷子になるのでは?
③ページデザイン的に見にくいと感じた。重要箇所が太字にしてあり、更にマーキングまでしてある。これがノイズとなって読みにくさを感じた(本文中には、余計な装飾はしないこと、と書いてある)。
しかも、この重要箇所が結構多い。重要箇所が多いということは、相対的にそれほど重要ではないともいえる(本文中には、言いたい事を絞ること、と書いてある)。また、蛍光のピンクが多用されていて、レイアウト的に見にくさを感じた。