この本で特徴的なのは、筆者の考え、主張を説明する際に、エピソードが多用されることだ。そのエピソードがあると説明が圧倒的に理解しやすい。本書の最初もいきなりエピソードで始まる。それを読むと「エッセンシャル思考」がどういうものかの全体像がつかめる。このエピソードは仕事をしている人誰にも当てはまりそうな話で、多くの人が共感できるのではないか。エピソードを使うのは他の本もやっているが、本書ではより徹底していると感じた。
また、本の構成として、階層構造がはっきりしている。そのため、読んでいて迷子になることがない。
そして、内容。この本の内容は自分にとって新鮮だった。今の世の中、仕事のやり方を効率化し、より多くの仕事を捌くことが良いとされている。しかし、本書の考え方はこの対極にある。本書では少ない物事を、より良く仕上げることを推奨する。それでいいのか?と思うかもしれない。しかし、本を読み進めていくと、それも納得がいく。
本書でよく出てくるのが、「エッセンシャル思考と非エッセンシャル思考の比較」だ(下図のようなイメージ)。これが繰り返されることで、エッセンシャル思考がより鮮明になっていくる。
※図は自分の作ったイメージ図
そして、印象に残った言葉。
より少なく、しかしより良く。
引用:本書
この言葉にこの本で語られる多くが凝縮されていると思う。自分も、全てをやろうとして、全てが中途半端になるのを、嫌というほど見てきた。この言葉を心に留めておこうと思う。
「エッセンシャル思考」という題名からは、一種の思考法の本かと思ったが、もっと広く、生き方に通じる内容であった。