この本を読み、知的生産において、どのような進め方をすると大きな成果が出やすいかを理解できた。本書のように、「知的生産」という幅広い括りで手順を解説している本は珍しいので、非常に参考になった。
本書に書かれてある事で、特に重要なのは以下だろう。
・取り組むべき問題を見極める(やって価値のあるものか、また、答えを出せるものか)
・仮説をもって取り組む
たったこれだけの事だと思うかもしれないが、本書を読むとその重要性が分かる。これを意識するかしないかで、大きく結果が変わりそうだ。ただし、仮説というのは普通に考えて、それが外れたら、やり直しではないかと思ってしまうのだ。仮説の重要さの説明は十分にあったが、その点についての説明が不十分だと思った。
多くの仕事を低い質のアウトプットで食い散らかすことで、仕事が荒れ、高い質の仕事を生むことができなくなる可能性が高い。つまり「犬の道」を歩むと、かなりの確率で「ダメな人」になってしまうのだ。
引用:本書
このように、長期的な展望を示してくれるのはありがたい。自分たちが失敗して学ばなくても、他人の経験により失敗が回避できるからだ。
その他の感想としては、本書は話が抽象的なので、この本の話のベースとなっているマーケティングと似たような職種以外の人達には分かりにくいと思う(話の組み立てとして、常に、大きな話→小さな話の順で展開されるので、本の構成としては理解しやすい構成であるが)。
また、筆者が携わってきたマーケティング業や科学は「知的生産」に当たるのは分かるが、他にどういう業種が「知的生産」に当たるのかの記載も欲しいところだ。あと、本書に書かれた方法で、筆者自身がどのような成果を上げたかのエピソードもあった方がいいと感じた。