この本においては、「はじめに」というイントロ部分で、秋元さんの発想法の概略が解説される。そこが本書の最重要部分であると思う。イントロでいきなり結論が書かれているようなものであるため、その後を読み進めていく際に、スムーズに理解ができる。
秋元氏は以下のように書いている。
発想や企画というと、白紙の状態からウンウン唸るような感じがするが、じつはそうではなくて、自分が面白いと思ったことを思い出す、あるいは「記憶」に引っ掛かっていたことを拾い上げるという行為なのである。
引用:「企画脳」
企画は0から作られているものではなく、記憶に残っていた事を企画につなげていることが分かる。
では、どういうものがいい企画か?・・・みんなが賛成するようなものが、いい企画か?。本を読むと、「他と違う」ことに価値があるという事が分かる。一般的なビジネスの世界と違って、独創性やオリジナリティが重要視される世界なのだろう。
この本には「むしろ」という表現が多く出てくる。A(良いとされる事)よりは、むしろB(悪いとされる事)の方がいい、という文脈で使われる事が多く、これを見ても”独創性を求める思想”が感じられる。
この本には比喩表現が多く出てくるのも印象的だ。例えば、「みんなが考えるような事をやってもヒットしない」という事を言う場合に、「みんなが行く野原に野イチゴはない」と表現している。これは一例で、本書には数え切れないほど比喩表現が出てくる。これが面白く印象に残る。
この本を直接役立てられる職種は多くはないと思うが、内容がビジネス書のように堅いものでなく、頭が柔らかくなるので、勉強と身構えずに軽い気持ちで読んでみるといいだろう。